治療実績・妊娠率データ
TREATMENT DATA
2025年 治療成績について
妊娠患者数
一般不妊治療(人工授精を含む) 158名 ART(高度生殖医療) 432名 妊娠患者総数 590名
高度生殖医療について
| 採卵周期 | 859周期 | 平均年齢 36.9歳 |
| 胚移植周期 | 838周期 | 平均年齢 35.7歳 |
妊娠成績
| 凍結胚移植 | 838周期 | 平均年齢 35.7歳 | 妊娠率 51.6%(432名) | 流産率21.3% |
当院では、患者様お一人おひとりの背景やご希望に寄り添いながら、科学的根拠に基づいた生殖医療を提供しております。ここでは、2025年の治療成績についてご報告するとともに、全国データとの比較を踏まえた当院の治療水準についてご説明いたします。
2025年においては、一般不妊治療(人工授精を含む)により158名、高度生殖医療(ART)により432名、合計590名の方が妊娠に至りました。高度生殖医療による妊娠も一定数を占めておりますが、これは患者様の背景や治療段階に応じて適切な治療法が選択された結果であり、一般不妊治療と高度生殖医療それぞれが重要な役割を担っていることを示しています。
高度生殖医療の内訳としては、採卵周期859周期(平均年齢36.9歳)、胚移植周期838周期(平均年齢35.7歳)であり、凍結融解胚移植における妊娠率は51.6%、流産率は21.3%という結果でした。
この成績を日本産科婦人科学会のART登録データ(2023年)と比較すると、全国の凍結融解胚移植における妊娠率は約40%前後、流産率は約25%前後と報告されています。当院の成績はこれらと比較して、妊娠率は高く、流産率は低い水準を示しており、全体として良好な結果であると考えられます。
さらに重要な点として、当院の患者様の平均年齢は35歳台後半であり、一般的に妊娠率の低下や流産率の上昇が見られる年齢層であることが挙げられます。そのような背景を踏まえても、本成績は年齢補正を考慮した上で十分に評価できる水準にあると考えています。
年齢別妊娠率(当院と全国平均の比較)
このグラフから分かるように、当院の妊娠率はすべての年齢層において全国平均を上回る水準を示しています。特に35歳以上の年齢層においても妊娠率の大きな低下を抑えられている点は、当院の治療戦略の特徴の一つといえます。
一般的に、加齢に伴い妊娠率は低下し、流産率は上昇することが知られています。その中で当院では、年齢や卵巣予備能、これまでの治療経過を踏まえた個別化医療を行うことで、それぞれの年齢層において安定した治療成績を維持しています。
※当院データは2025年実績。全国平均は日本産科婦人科学会 ARTデータブック2023を参考に作成しています。
現在の生殖医療においては、凍結融解胚移植(FET)が主流となっており、日本では出生児の多くがこの方法によるものです。これは、卵巣刺激の影響を受けない状態で子宮内膜環境を整え、最適なタイミングで胚移植を行うことで、妊娠率の向上が期待できるためです。当院でもこの考え方に基づき、移植のタイミングや方法を個別に調整し、より良い結果につなげることを重視しています。
また、日本では単一胚移植が標準的に行われており、安全性の観点からも多胎妊娠の回避が重要とされています。当院においてもこの方針を踏まえ、安全性と妊娠率のバランスを考えた治療を行っています。
さらに、近年は胚培養技術の進歩も著しく、タイムラプスインキュベーターやAIによる胚評価の導入により、より客観的で精度の高い胚選択が可能となっています。当院でもこれらの技術を取り入れ、胚の発育過程を詳細に評価することで、妊娠の可能性が高い胚の選択につなげています。
こうした成績を支えている背景には、個々の患者様に応じたテーラーメード医療があります。年齢や卵巣予備能、これまでの治療経過を踏まえた刺激法の選択に加え、必要に応じて子宮内環境の評価や調整を行い、着床しやすい状態を整えることを重視しています。また、精子選別法や培養環境の最適化など、胚の質に関わる要素にも細やかに対応しています。
生殖医療の結果は単一の周期だけで評価できるものではなく、患者様それぞれの背景によって大きく異なります。そのため当院では、一回ごとの結果に一喜一憂するのではなく、累積妊娠率や最終的な出生に至る可能性を見据えた治療計画を大切にしています。
2025年の治療成績は、全国平均と比較しても良好であり、現在の生殖医療の標準的な考え方に基づいた、科学的かつ妥当な医療が提供できている結果と考えております。
当院では今後も、最新の知見と技術を取り入れながら、安全性と有効性の両立を重視し、患者様にとって最善の医療を提供できるよう努めてまいります。
2024年の治療成績
2024年の治療成績をまとめましたので公開させていただきます。
妊娠患者数
| 一般不妊治療(人工授精を含む) | 168名 |
| ART(高度生殖医療) | 310名 |
| 妊娠患者総数 | 478名 |
一般不妊治療では、排卵障害を伴う多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者様に対して、2022年から保険収載された排卵誘発薬のレトロゾール(フェマーラ)の有効性が高いと考えます。 もともと海外ではPCOS治療の第一選択薬となっているのはレトロゾール(フェマーラ)です。 単一排卵誘発を目的とする一般不妊治療では、それぞれの患者様の卵巣の状況に合わせた排卵誘発薬の選択が重要です。
高度生殖医療について
| 採卵周期 | 672周期 | 平均年齢 36.9歳 |
| 胚移植周期 | 693周期 | 平均年齢 36.1歳 |
2022年4月から高度生殖医療を含む不妊治療が保険収載されて以降、治療周期数は毎年増加しています。ART開始年齢も低下しています。 一方で保険での治療回数が終了して自費治療へ移行して当院へ転院される方もいらっしゃいます。その場合にはこれまでの治療経過、治療結果から更にできることはないか、自費診療となることで可能になる治療や検査も含めて、それぞれの患者様についてご相談しながら治療方針を決定致します。
妊娠成績
| 凍結胚移植 | 693周期 | 平均年齢 36.1歳 | 妊娠率 44.7%(310名) | 流産率21.6%(67名) |
当院での体外受精における妊娠率は平均44.7%と全国平均37.8%(2022年日産婦)に比較して高い妊娠率となりました。2023年は胚移植周期数が638周期、妊娠率は44.2%でしたので、高い水準であった昨年をも上回る妊娠率となりました。また、胚盤胞移植の凍結胚移植の妊娠率は45.3%でした。 保険診療では移植回数に回数制限が設けられているため、移植の精度をいかに上げていくかが大変重要です。採卵でも移植でも、保険診療と併用して選択可能な先進医療を必要に応じて検討することが重要になります。良好胚を確保するためにできること、着床のためにできることをそれぞれの患者様で検討しています。
2023年の治療成績
高度生殖医療について
| 採卵周期 | 563周期 | 平均年齢 36.4歳 |
| 胚移植周期 | 638周期 | 平均年齢 36.1歳 |
2020年10月に開院して3年目となり、採卵周期は563周期、胚移植周期数は638周期まで増加しました。2022年4月から生殖補助医療が保険適応となったことも大きく影響しています。保険適応となり、ART開始年齢も以前より低下しています。 福岡市ではプレコンセプションケア推進事業の一環として30歳になる女性を対象に、卵巣予備能の指標となるAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査費用の一部を助成する制度があります。 当院でこの検査を受けられた方の数が福岡市内のクリニックの中では最も多かったとのことです。 検査を受けられた方の中には、AMH値が1.0ng/mlを下回っている方もいらっしゃいました。そのような方を速やかに治療へご案内できるようになったのは、不妊治療が保険適応化された恩恵の一つといえます。
妊娠成績
| 凍結胚移植 | 638周期 | 平均年齢 36.1歳 | 妊娠率 44.2% | (282名) |
当院での体外受精における妊娠率は平均44.2%と全国平均36.9%(2021年日産婦)に比較して高い妊娠率となっています。 上記の凍結胚移植には初期胚移植も含まれておりますが、生殖補助医療が保険適応化され移植回数に制限のある制度の中では、なるべく胚盤胞移植を目指したいと当院では考えています。 胚盤胞での凍結胚移植の妊娠率は45.3%でした。これまでの治療経過で胚盤胞へ到達できない方や、卵巣予備能の低下のため採取可能な卵子が極端に少ない方は、初期胚移植を選択する場合もあります。
年齢と妊娠率・流産率
年齢別妊娠率
| 29歳以下 | 68.5% |
| 30歳から34歳 | 57.2% |
| 35歳から39歳 | 43.5% |
| 40歳以上 | 22.8% |
全胚移植周期を対象とした年齢別妊娠率です。

日本産科婦人科学会より2021年ARTデータブックとして2021年に日本で行われた体外受精に関するデータが報告されています。 妊娠、出産までを追跡しているため最新データは2021年に行われたデータとなります。

出生数についてです。 FET:凍結融解胚移植、ICSI:顕微授精、IVF:体外受精(媒精) ICSI周期とIVF周期は新鮮胚移植を施行した治療周期 ARTで出生した赤ちゃんは毎年増加していて、2021年は過去最多の69797人でした。

このグラフは、各年齢でどれくらいの人が治療を行い、妊娠、出産したかを示しています。治療周期は39~42歳あたりが最多ですが、妊娠・生産周期は35~36歳あたりを境に減少しています。これは、どうしても年齢が上がるにつれ妊娠しにくく、また流産しやすくなっていることを示しています。

年齢が上がるにつれ妊娠率の低下と流産率の上昇が起こっています。これは2021年に限らず同じ傾向です。 高齢症例での流産率を低下させる方法として、着床前診断であるPGT-Aが1つの選択肢として検討されます。 当院はPGT-A・SRの承認実施施設となっており実施は可能です。 治療が全て自費診療で行われることや、年齢が上がると移植可能な正倍数胚が得られる可能性が低いことなど問題点もあり、当院では保険診療、先進医療と、自費診療について患者様とご相談しながら治療を進めて参ります。
卵子の老化とは?
妊娠のしやすさや流産率に年齢が影響する大きな理由の一つが、卵子の老化です。
女性の卵子は、生まれたときにすでに数が決まっており、年齢とともに減少するだけでなく、卵子そのものの質も徐々に低下していきます。
特に35歳以降は、卵子の染色体異常が起こりやすくなることが知られており、
☐ 妊娠しにくくなる
☐ 妊娠しても流産のリスクが高くなる
という変化が現れやすくなります。
これは生活習慣や努力だけで完全に防げるものではなく、年齢に伴う自然な生理現象とされています。
「早めの受診」が大切です
年齢による変化は、見た目や自覚症状では分かりにくいのが特徴です。
「生理が来ているから大丈夫」「まだ妊娠できそう」と思っていても、実際には妊娠率や流産率に影響が出始めているケースも少なくありません。
早めに医療機関を受診することで、
☐ 今の妊娠しやすさの目安
☐ 必要な検査や選択肢
☐ 今後のライフプランに合った考え方
を知ることができます。
「すぐに治療を始める」という意味ではなく、
現状を正しく知るための第一歩として、早期の相談が重要とされています。