培養室
LABORATORY
培養室
培養室では胚培養士が、患者様の卵子と精子をお預かりして、受精から胚(受精卵)を発育し移植までの間、大切にお世話しています。
当院の特徴

胚は非常にデリケートであり、培養庫の外に出すたびにダメージを受けます。
一定の培養環境を維持することは重要なことであり、当院では、培養庫内で成長過程を観察できるタイムラプス(受精卵観察システム)を採用しています。
また、受精後から時間経過に沿って画像を記録することができるため、移植に使用する胚の選別を行う際に形態学的評価を行うことができます。タイムラプスイメージングによる胚の選択は、通常の培養庫から取り出し選択する方法に比べて妊娠率が20%向上するという報告もあります。
※出典:生殖医療の必修知識2017 p307、Fertil Steril 2012:98:1458-1463
アシステッドハッチング
受精卵の一番外側に殻のような部分があり、透明帯と呼ばれます。透明帯が開口する孵化(ハッチング)が起こった後に、胚は着床します。
透明帯は、年齢の上昇による肥厚や硬化、凍結融解による硬化などが報告されています。
この透明帯を薄くしたり切れ込みを入れたりすることで、孵化を補助する(アシステッッドハッチング)ことができます。アシステッドハッチングには化学的方法(酸などの薬品を使用)と、機械的方法(レーザーを使用)があります。
当院では、光や温度変化による胚へのダメージを抑えることのできるレーザー法を採用しています。
清潔な環境づくり
卵子や精子、胚はとてもデリケートなため、培養室は常に清潔な状態を維持しなければなりません。
培養室はクリーンルームとも呼ばれ、エアコン内部にはHEPAフィルターという高性能フィルターが入っており、24時間換気を行うことで微細粒子を除去しています。
また、胚の成長を妨げる因子である紫外線や揮発性有機化合物を除去するため、部屋の照明や顕微鏡のランプには紫外線を発しないLEDを使用し、VOC除去装置も配置しています。
このような徹底した管理の元、年に一度は専門業者に環境測定を行ってもらい、常に手術室と同等のクリーンな状態を保っています。
胚(受精卵)に最適な環境
培養室の環境はもちろん、胚を培養している機器の環境は胚にとって最も重要です。
受精後の胚は、凍結もしくは移植までのほとんどの間インキュベーターという培養庫の中で過ごします。インキュベーターとは体内と同じように温度・湿度・ガス濃度などが一定に保たれた機器のことです。胚を培養庫の外に出す頻度が増えるとその状況が変化するため、胚は少しずつダメージを受けてしまいます。
当院ではタイムラプス(受精卵観察システム)インキュベーターという培養庫を使用しており、受精後から時間経過に沿って画像を記録することができるため、胚を外に出すことなく、移植や凍結する胚の選別を行うことができます。
また、当院で使用しているタイムラプスには「iDA Score™(Intelligent Data Analysis Score)」というAI解析システムが搭載されています。
このAIは、世界中の多数の胚の発育データをもとに胚の発育パターンを解析し、胚の評価(スコアリング)をサポートすることができます。
もしもに備えて
みなさまの大切な胚や精子をお預かりしている培養室は、不慮の事故(自然由来)でない限り‛もしも‘が起こってはなりません。
そのため、不測の事態に備えて非常用電源装置や無停電電源装置をインキュベーターに接続し、停電が起こっても瞬時に胚の培養が継続できるようになっています。
ほかにも24時間管理できる監視システムを作動させており、異常が起こった際には培養士全員にアラームメールが発信されるようになっています。
当院では、監視システムをタイムラプスインキュベーターとすべての凍結保存タンクに設置しているので、培養中の胚はもちろん、保存している卵子や精子、胚の凍結タンクの非常事態にもすぐに駆け付けることができるよう徹底しています。
培養士の研鑽
いくら最新の機器を備えていても、培養士の知識や技術が不足していては、受精率や妊娠率の向上につながりません。
当院の培養士は、8割以上が日本卵子学会の認定する「生殖補助医療胚培養士」の資格を取得しており、さらなる高度な技術や知識を身につけるため、学会やセミナーにも積極的に参加し発表しています。
日々の学びも怠らず、培養室内では毎日患者様の胚の状況や新たな知見を共有する場を設け、毎月の院内カンファレンスでは医師や看護師、受付と連携を図りながら、日々切磋琢磨しています。