不妊基本検査
STANDARD FERTILITY WORKUP
一般不妊検査について
妊娠を目指すにあたり、まずは現在のお身体の状態を正確に把握することが大切です。
当院では、女性・男性双方の視点から、妊娠に関わる基本的な検査を行い、結果に応じて最適な治療方針をご提案いたします。
初診から1周期目の検査の流れ
※初診は月経周期に関係なく受診可能です
初診(いつでも受診可能)
・問診・カウンセリング
・子宮頸部擦過細胞診
・クラミジア、淋菌検査
・超音波検査
・必要に応じて血液検査・精液検査
現在の状態を把握し、検査計画を立てます。
できる検査は早めにご案内致しますが、ご都合が合わない場合は翌周期におこないます。
月経2〜5日目(Day2〜5)
ホルモン基礎値検査
・FSH, LH
・E2
・AMH(抗ミュラー管ホルモン)
・テストステロン
・プロラクチン
・甲状腺刺激ホルモン
卵巣機能やホルモンバランスの評価をおこないます。
月経7〜9日目(Day7〜9)
・子宮卵管造影検査(HSG)
・HOMA-R
卵管の通過性・子宮の形を確認、卵管因子の有無を評価します。
排卵障害がある方はインスリン抵抗性(HOMA-R)を検査します。
月経12〜14日目(排卵前)
卵胞チェック(超音波)
卵胞の発育を確認、排卵日を予測・タイミング指導
排卵後 約1週間
黄体機能検査(プロゲステロン)
排卵がきちんと起こっているか、黄体機能(着床環境)を評価します。
各検査について
超音波検査
超音波検査は、子宮や卵巣の状態を直接確認できる、不妊検査の基本となる検査です。
子宮の形態や卵巣の状態を評価することで、不妊の原因となりうる病変の有無を調べます。
子宮筋腫や子宮内膜ポリープが認められる場合には、子宮内の環境に影響を及ぼし、着床に影響する可能性があります。そのため、状態に応じて治療の優先順位を検討することがあります。
また、子宮内膜症に伴う子宮筋層の変化や、卵巣子宮内膜症(チョコレート嚢胞)による卵巣の腫大なども評価可能です。さらに、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では、卵巣内に小さな卵胞が多数認められ、排卵障害の原因となることがあります。超音波検査によりこれらの特徴的な所見を確認することで、排卵機能の評価につながります。
加えて、超音波検査は初診時の評価だけでなく、治療経過の把握にも重要です。卵胞の発育を観察することで排卵時期を予測し、タイミング法や人工授精の適切な実施時期の判断に役立てます。
さらに、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療においても、採卵前の卵胞発育の確認や、胚移植前の子宮内膜の状態評価など、各段階で欠かせない検査です。
当院では、これらの情報をもとに、お一人おひとりの状態に応じた治療方針をご提案しています。
AMH検査(抗ミュラー管ホルモン)
AMHは、卵巣内の発育途中の卵胞から分泌されるホルモンで、血液検査で測定します。この値から、卵巣に残っている卵子の数の目安(卵巣予備能)を知ることができます。
AMHは卵子の「量」の指標であり、妊娠のしやすさを直接示すものではありません。卵子の質は主に年齢の影響を受けるため、同じAMH値であっても、年齢が高くなるほど妊娠率は低下します。
AMHが低い場合でも自然妊娠ができないわけではありませんが、妊娠までの時間に余裕が少ない可能性があります。一方で高値の場合には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが関与していることもあります。
今後の治療方針(治療期間や体外受精へのステップアップ、卵巣刺激方法など)を検討するうえで重要な指標となります。
当院では、年齢や他の検査結果とあわせて総合的に判断し、適切な治療方針をご提案しています。必要に応じて、半年〜1年ごとの再評価を行います。
クラミジア検査・淋菌検査
クラミジア感染症も淋菌感染症も性感染症です。
自覚症状がないことも多い一方で、卵管炎や骨盤内炎症性疾患を引き起こし、卵管閉塞や癒着の原因となることがあります。早期発見と治療が重要であり、不妊検査の初期段階で確認することが推奨されます。
子宮頸がん検診
子宮頸がん検診は、子宮の入口(子宮頸部)の細胞を採取し、異常の有無を調べる検査です。
子宮頸がんは初期には自覚症状がほとんどないため、定期的な検診による早期発見が重要です。
がんになる前の段階で見つかれば、子宮を温存したまま治療や経過観察が可能な場合もあり、将来の妊娠を考えるうえでも大切な検査です。
当院では、1年以内に検診を受けていない方には初診時に検査を行っています。異常が認められた場合は、不妊治療に先立ち精密検査や治療をご案内します。
ホルモン検査
血液検査により、妊娠に関わるホルモンの状態を評価します。
ホルモンバランスは排卵や妊娠の成立に深く関わるため、不妊の原因を把握するうえで重要な検査です。
■ FSH(卵胞刺激ホルモン)
卵巣に働きかけ、卵胞の発育を促すホルモンです。
主に月経初期(Day2〜5)に測定し、卵巣の働きや卵巣予備能の目安を評価します。高値の場合は卵巣機能の低下が示唆されることがあります。
■ LH(黄体形成ホルモン)
排卵を引き起こすホルモンです。
LHの分泌パターンをみることで排卵のタイミングや排卵機能を評価します。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では高値となることがあります。
■ PRL(プロラクチン)
本来は授乳に関わるホルモンですが、高値になると排卵が抑制されることがあります。排卵障害や月経異常の原因となるため、不妊検査では重要な項目です。
■ TES(テストステロン)
男性ホルモンの一種で、女性でも少量分泌されています。
高値の場合、PCOSなどの排卵障害の原因となることがあります。
ホルモンバランスの評価として測定します。
■ TSH(甲状腺刺激ホルモン)
甲状腺機能を反映するホルモンです。
甲状腺機能の異常は排卵や着床、妊娠維持に影響を及ぼすことがあるため、妊娠を希望される方では重要な評価項目です。
子宮卵管造影検査
当院では、患者様のご負担をできるだけ軽減するため、痛みが少なく安全性の高い「超音波子宮卵管造影検査」を行っております。
子宮卵管造影検査は、卵子と精子が出会う「卵管」が通っているか、受精卵が着床する「子宮」に形の異常がないかを確認する、不妊検査の中でも重要な検査です。
従来の子宮卵管造影検査との違い
一般的な子宮卵管造影検査(X線検査)では、放射線を使用し、造影剤(油性/水性)を子宮内に注入します。
そのため、
・被ばくの影響がある
・造影剤の粘稠度が高く、痛みを感じやすい
・アレルギー反応のリスクがある
・甲状腺疾患やヨード過敏症の方には使用できない
といった注意点があります。
当院では超音波を用いた検査を行っているため、
・放射線被ばくがない
・比較的痛みが少ない
・安全性の高い造影剤を使用
という特徴があります。当院では、ExEm Foam Kit(エクセムフォームキット)という造影剤を使用しています。この造影剤はオランダで開発され、ヨーロッパを中心に世界25か国以上で使用されている実績があります。
主成分は
・ヒドロキシセルロース
・グリセロール
で、いずれも医療や化粧品にも用いられる安全性の高い成分です。
そのため、使用時の痛みや不快感が少なく、アレルギーのリスクが低いと考えられています。(自費検査です。)
インスリン抵抗性(血糖値、インスリン値)
不妊治療においては、ホルモンバランスだけでなく、血糖値やインスリンといった「代謝の状態」も重要な要素となります。特に「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態は、排卵や妊娠に影響を及ぼすことが知られています。
インスリンは血糖値を下げる働きを持つホルモンですが、その作用が低下した状態がインスリン抵抗性です。この状態では体内でインスリンが過剰に分泌されるようになり、排卵障害や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の悪化、さらには卵子の質への影響が指摘されています。
インスリン抵抗性は自覚症状が乏しく見逃されやすい一方で、適切に評価し対策を行うことで、排卵の改善や妊娠率の向上、流産リスクの低減につながる可能性があります。そのため当院では、必要に応じてインスリン抵抗性の評価を行っています。
検査は主に空腹時の血液検査で行い、血糖値とインスリン値を測定します。これらの値からHOMA-IRなどの指標を用いてインスリン抵抗性の有無を評価します。
特に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方、排卵が不安定な方、原因不明不妊の方、BMIが高めの方などでは、インスリン抵抗性が関与していることがあり、検査を行う意義が高いと考えられます。
不妊治療では、卵巣や子宮だけでなく、全身の状態を整えることが妊娠への近道となる場合があります。当院では、こうした代謝の側面も含めて総合的に評価し、それぞれの患者様に合わせた治療をご提案しています。
黄体機能検査(プロゲステロン)
妊娠の成立には、排卵後のホルモン環境が重要であり、その中でもプロゲステロン(黄体ホルモン)は子宮内膜を整え、受精卵の着床と妊娠の維持に大きく関わっています。
排卵後に分泌されるプロゲステロンが不足すると、子宮内膜の発育が不十分となり、着床しにくくなったり、妊娠の維持が難しくなる可能性があります。
当院では、血液検査によりプロゲステロン値を測定し、黄体機能を評価しています。検査は排卵後約1週間のタイミングで行い、適切にホルモンが分泌されているかを確認します。
抗体精子抗体
抗精子抗体とは、体の免疫が精子を異物と認識し、その働きを妨げてしまう抗体のことをいいます。この抗体が存在すると、精子の運動が低下したり、精子同士がくっつく(凝集する)ことで、卵子への到達や受精が妨げられる場合があり、不妊の原因の一つとなることがあります。
当院では、女性の血液検査により抗精子抗体の有無を調べることが可能です。 検査で抗体が認められ、特にその値が高い場合には、自然妊娠が難しいケースもあるため、人工授精や顕微授精といった治療へのステップアップを早期に検討することがあります。(自費検査です。)
風疹抗体検査
風疹はウイルスによる感染症で、特に妊娠初期に感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があります。特に先天性風疹症候群と呼ばれる状態では、難聴や心疾患、白内障などの障害が生じることがあるため、妊娠前に免疫の有無を確認することが重要です。
そのため当院では、妊娠を希望される方(夫婦)に対して風疹抗体検査を行っています。この検査では血液中の抗体価を測定し、風疹に対する免疫が十分にあるかを確認します。
抗体価が十分でない場合には、ワクチン接種をご提案することがあります。ただし、風疹ワクチンは生ワクチンのため、接種後は一定期間(約2ヶ月間)の避妊が必要となります。
風疹は予防可能な感染症であり、妊娠前に対策を行うことで胎児へのリスクを大きく減らすことができます。当院では、安全に妊娠を迎えるための準備の一つとして、適切な検査とご説明を行っています。
よくある質問
すべての検査を必ず受ける必要がありますか?
いいえ。症状や年齢、ご希望に応じて、必要な検査のみ行います。
痛みの強い検査はありますか?
多くの検査は痛みが少なく、子宮卵管造影検査などは個人差がありますが、事前に丁寧にご説明します。
検査だけの受診でも大丈夫ですか?
はい。治療を前提とせず、検査のみの受診も可能です。
検査結果はいつわかりますか?
検査内容によりますが、当日または後日の診察時にご説明します。
仕事をしながらでも通えますか?
月経周期に合わせて検査日を調整しますので、無理のない通院が可能です。
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